① 依頼したい業務の範囲と進め方
「法定監査を受けたい」「IPOを目指したい」「M&Aの相手を調べたい」——目的によって、必要な業務と適した依頼先は変わります。たとえばIPO準備なら、最初に課題を洗い出すショートレビューを受け、その結果を踏まえて内部管理体制の整備や監査契約へ進むのが一般的な流れです。いきなり全部を頼むのではなく、どこから始めるのが合理的かを率直に聞いてみましょう。
財務デューデリジェンスであれば、調査範囲(スコープ)の設計が費用と品質を左右します。対象会社の規模や懸念点に応じて「重点的に見るべき領域」と「簡易な確認で足りる領域」を切り分ける提案をしてくれるかどうかは、経験値を測るひとつの目安になります。
② 誰が担当し、どんな体制で対応するか
監査法人には大手・準大手・中小の規模の違いがあり、それぞれ傾向が異なるといわれます。大手は海外拠点やIFRS対応などのリソースが厚い一方、報酬水準は高めになりやすく、中小は柔軟な対応や距離の近さが期待できる反面、業種や規模によっては受嘱を慎重に判断することもあります。自社の規模・上場市場・グループ構成に照らして、どの規模の依頼先が合うかを考えてみましょう。
実際に手を動かすのが誰かも重要です。パートナー(社員)がどの程度関与するのか、現場の主査は誰か、繁忙期の対応やレスポンスの目安はどうか。数年にわたる関係になることが多いため、担当者との相性や説明の分かりやすさも判断材料に含めて差し支えありません。
③ 独立性の制約と、税務まで頼めるか
見落とされがちなのが独立性の論点です。監査人には独立性の要件があり、同じ会社に対して監査とコンサルティングを兼ねられない場合があります。たとえば監査を依頼する予定の相手に内部統制の構築代行まで頼むと、自ら作ったものを自ら監査する形になりかねないためです。「監査をお願いした場合、他にどこまで頼めるのか」は最初に確認しておきましょう。
また、公認会計士が税務を扱うには税理士登録が必要です。決算支援とあわせて税務申告や税務顧問まで任せたい場合は、税理士登録の有無、または提携税理士の体制を確認してください。監査契約を結ぶ場合は、独立性の観点から税務は別の事務所に分けるのが一般的です。
確認チェックリスト
- ✓依頼の目的(監査・IPO・M&A等)と最初に着手すべき業務を確認したか
- ✓IPO準備の場合、ショートレビューから始める選択肢の説明を受けたか
- ✓担当パートナーと現場チームの体制・関与度合いを聞いたか
- ✓監査法人の規模(大手/準大手/中小)が自社に合っているか検討したか
- ✓監査を依頼する場合、独立性の制約で頼めない業務を確認したか
- ✓税務も任せたい場合、税理士登録の有無や提携体制を確認したか